家づくりの知識

2023.10.11

建売住宅のデメリットとメリットを解説!後悔しないために知っておきたい購入時の注意点とは?

建売住宅の模型のイメージ

マイホームの選択肢として、建売住宅の購入を検討されている方は多いのではないでしょうか。

注文住宅と比較すると、コストメリットが大きいイメージのある建売住宅。しかしその分、「値段が安いので、品質もよくないのでは」と心配される方も少なくありません。後悔しない家づくりを進めるためにも、建売住宅の特徴をしっかり理解して決めることが大切です。

そこで今回は建売住宅とは何か、デメリットとメリットを交えて解説します。後半では家づくりで後悔しないために知っておきたい、購入時の注意点もご紹介します。ぜひ最後まで読んでください。

建売住宅とは

住宅街のイメージ

建売住宅は土地と建物がセットで販売される住宅です。完成済みの家はもちろん、建築前や建築途中の状態などでも販売されます。

販売形態は、1区画に1軒の家を販売するケースから、複数の区画に複数の家を一度にまとめて販売するケースまで様々です。間取りや設備は、購入者の希望に合わせての変更はほとんどできないことが多いです。

分譲一戸建てとの違い

建売住宅と分譲住宅は、どちらも土地と建物がセットで販売される形態の物件です。つまり基本的には同じ意味で使われます。

ではなぜ「建売住宅」と「分譲住宅」の2種類の用語があるのでしょうか。諸説ありますが、大きく分けると以下の2つがその理由として言われています。

1. 不動産を扱う会社によって呼び方が違うから
2. 住宅を建てている場所によって呼び方が違うから

一般的に大手住宅業者やデベロッパーが手がけたものは「分譲一戸建て」、中小の住宅業者のものは「建売住宅」と呼ぶことが多いようです。

また、分譲地に建てられている住宅は「分譲住宅」と呼ばれ、それ以外の場合は「建売住宅」と呼ばれることもあります。ただし、建売住宅の多くは分譲地に建てられており、両者の用語はしばしば同じ意味でも使われます。

つまり建売住宅と分譲住宅は、土地と建物がセットで販売される住宅である点では同じになります。

注文住宅との違い

建売住宅とよく比較される住宅の形態として、「注文住宅」が挙げられます。注文住宅とはハウスメーカーや工務店などに設計から依頼し、お客様のご要望に合わせてカスタマイズされた住宅です。

建売住宅と注文住宅は、住宅を購入する際のアプローチが異なります。

【注文住宅の特徴】
・土地は購入者自身が用意する必要がある
・外装や内装のデザイン、間取り、設備など基本的にすべてを購入者が自由に選択できる
・土地と家屋を別々に購入し、それぞれ別々のローンを組む必要がある
・施工は購入後に開始されるため、入居までに時間がかかる

【建売住宅の特徴】
・土地と建物がセットで販売される
・土地代金と建物代金を住宅ローンで一緒に支払える
・建物の外装や内装、間取り、設備など購入者の希望に合わせた変更が困難
・施工は一般的に建物が販売される前に行われ、完成済みまたは建築中の物件が提供される

つまり、注文住宅は購入者が土地の選定からデザインまでを自由にコントロールできる点が特徴的です。一方で建売住宅は既存の物件を購入し、迅速な入居を可能にする利点があります。

建売住宅のメリット

メリットを指し示すイメージ

ここからは建売住宅に関して、主なメリットを解説します。

土地と建物を一緒に購入できる

建売住宅の大きなメリットの一つは、土地代金と建物代金を住宅ローン一括で支払える点です。

注文住宅では土地を購入後に建物の建設が始まるため、つなぎ融資などを利用し、先に土地の代金を不動産業者に支払い、その後住宅の建築費を別のタイミングで支払う形になります。
そのため、土地代金はつなぎローン(つなぎ融資)、建物代金は住宅ローンといった形で、基本的にはローンがそれぞれ異なるため、手続きが煩雑になります。

一方で、建売住宅は建物がすでに完成しているため、土地代金と建物代金を別々に支払うことなく、住宅ローンの支払い手続き自体も簡単です。

割安で土地と住宅を購入できる

建売住宅の価格メリットは、注文住宅と比べると低コストで土地と住宅を購入できる点です。建売住宅の方が価格が安い理由は、以下の要因が考えられます。

・設計など打ち合わせにかかる人件費が少ない
・同じ規格で施工されるため、材料をまとめ買いできてコストが抑えられる
・使用する建材や設備などの規格が決まっているため、申請や計画にかかる費用が少ない

例えば、2022年度における建売住宅(分譲戸建住宅)でかかった資金の平均額は4,214万円となっており、土地代を含めた注文住宅の価格相場(5,436万円)よりも1,200万円も割安と言われています。

このように、建売住宅は注文住宅と比べるとコストを抑えて購入できるため、割安で家を建てたい人におすすめです。

参考:令和四年度住宅市場動向調査|国土交通省

設計や打ち合わせなどの負担が少ない

打ち合わせのイメージ

建売住宅は建物が完成した状態で販売されていることがほとんどです。
そのため、施主と住宅業者の間で行う設計などの打ち合わせ回数が少なく、施主にとって負担が少ない点も建売住宅のメリットと言えます。

建売住宅と比べると、注文住宅では次のような事柄に関する打ち合わせや決めごとが必要です。

・土地探し
・間取り
・内装や設備の仕様
・外装・外構の仕様

もし初期の設計段階で予算オーバーした場合は、メーカーや土地選びの段階からやり直しをするケースもあります。
注文住宅では土地の選定から家の設計まで、お客様のご希望に合わせて自由に決められる分、時間がかかって面倒に感じられる方もいらっしゃいます。

その点建売住宅は既に建っている住宅のなかから好きな物件を選んで購入するだけで済むため、煩雑なプロセスを避けたい方々にとっては魅力的な選択肢と言えるでしょう。

入居までの期間が短い

建売住宅は完成済みの建物が多く、気に入れば即座に購入手続きを始められます。売買契約を結び、住宅ローンを利用する場合、おおよそ1~2ヶ月で入居が可能です。

ご家族の進学や転勤などで、できるだけ早く物件を確保したい方にとって、建売住宅は契約から入居までの期間が短い点は大きなメリットです。

一方で注文住宅を建てる場合は、土地選びから設計、工事まで多くの工程がかかります。全体で約6ヶ月~1年ほどの期間が必要で、入居までに時間がかかる点が特徴です。

また先ほどもお伝えした通り、建売住宅は土地と住宅をセットで購入するため、売買契約と住宅ローン手続きが一括で進行します。住宅ローンを2本組む必要がなく、手続きが簡単な分、スピーディーに入居することが可能です。

完成した物件を見てから購入できる

建売住宅は一般的に完成済みの住宅を販売しているため、購入前に内見ができます。この内見を通じて、お客様のご希望に合った住宅かどうか、外観から内装、間取りに至るまで詳細に確認できます。
そのため、注文住宅でありがちな「設計時に想像していたものと、完成後のイメージが違った」といった失敗や後悔を最小限に抑えられる点がメリットです。


はじめて家づくりをする方の場合、間取り図だけで打ち合わせを行っても、マイホームの出来上がりを具体的に思い描くことは難しいでしょう。
しかし、建売住宅の場合は、実際に建っている物件を見てから購入を決められます。

建売住宅のデメリット

デメリットを指し示すイメージ

もちろん、建売住宅にはメリットだけでなく、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるか、詳しくご説明します。

土地を自由に選べない

一つ目のデメリットは、土地の選択肢が制限される点です。
建売住宅は多くの場合、ハウスメーカーや工務店などが用意した土地に建てられるため、購入者が土地を自由に選べません。

注文住宅の場合は、自分の希望する土地を自由に選んで決めることができるのに対し、立地の選択肢が限られているため、細かい要望が合わないこともあります。

どうしても希望に合う物件がない場合は、注文住宅で土地探しから行うことも検討が必要です。

設計や仕様を自由に選べない

建売住宅は注文住宅と比較すると、自由度が低い点がデメリットです。

一部の建売住宅ではオプションで一部の変更が可能な場合もありますが、基本的な構造や設備は変更できないため、お客様の希望に合わせた細かなカスタマイズはできません。

そのため建売住宅での家づくりを検討する際には、お客様の必要条件を洗い出し、それに一致する物件を探す必要があります。

ただし、建築前の建売物件の場合、設備や間取りの変更が可能な住宅メーカーもありますが、自由度の高いカスタマイズを希望する場合は、注文住宅も選択肢に含めてご検討ください。

不特定多数の人が出入りしている

人が行き交うイメージ

建売住宅は完成した状態で販売されるため、購入を検討している人はもちろん、近隣の方やそれ以外の方も自由に家を見学できる場合があります。

お客様によっては、家の内部情報や間取りが他人に知られることに、セキュリティーやプライバシーに対する不安や懸念を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

施工途中の確認ができない

建売住宅は完成した状態で販売されるため、購入前に土地の状態や工事の過程を確認できない点がデメリットです。

土地の状態は、住宅の耐震性や耐久性に大きな影響を与える要素であり、不良な土地は住んだ後のトラブルの原因になる可能性があるため注意が必要です。

例えば、地盤が軟弱な場合、それがどのように改良されたのかが分からず、耐久性や耐震性に影響を及ぼす可能性があります。購入後に土地の問題が発覚すると修復が難しいため、購入前に土地の状態を確認しましょう。

また、工事中の工程も立ち合いできないため、建物の基礎や壁の内部などの見えない部分の品質や施工状況も確認できません。

一方で注文住宅の場合、施主は工事の進捗状況や品質をご自身でチェックできます。地盤改良や工法、使用される資材、工事の進行状況などを確認し、問題があればすぐに対処が可能です。

建売住宅を購入する際には、信頼性の高い建設業者を選び、購入前に必要な情報を入手することが重要です。

外観や間取りが同じ家がある

分譲住宅地に建売住宅が建つ場合、多くの家が同じようなデザインと間取りで建てられるため、個性が出せない点がデメリットです。

例えば同じ分譲地内に複数の建売住宅が存在する場合、一帯に同じ外観や間取りの家が並ぶ可能性が高いため、家づくりで独自性や個性を重視する方は物足りないと感じるかもしれません。

そのため、外観や間取りにこだわりがある方には、注文住宅での家づくりの方が向いている可能性がありますので、両方を視野に入れて家づくりを進めましょう。

注文住宅と建売住宅の違いについては、下記の関連記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご確認ください。

建売住宅を購入する際の注意点

注意を促すイメージ

これから建売住宅で後悔しない家づくりを進める場合、具体的にどのような点に注意したら良いのでしょうか。この章では建売住宅を購入する際の注意点を解説します。

土地や周辺環境を確認する

建売住宅を購入する際には、家の外観や内装だけでなく、土地や周辺の環境も注意深くチェックすることが重要です。

例えば、近隣の住人はどのような人か、学校や公園、病院、買い物施設などへのアクセスが良いかは必ず確認しましょう。

確認する際には、時間帯を変えて見に行くのがポイントです。同じ建売住宅でも、時間帯によって印象が異なります。朝・昼・夕方と訪れ、日当たりや周囲の環境を確認しましょう。

夜間に訪れた際、周辺に街灯が不足していたり、時間帯によっては交通量が多く騒音などが気になる可能性もあるからです。

また災害リスクについても調査する必要があります。国土交通省が運営する、「ハザードマップポータルサイト」では身の回りでどんな災害が起こりうるのかを、調べられます。周辺環境や住環境を確認する際に、活用してみてください。

設備や点検口の有無を確認する

建売住宅を購入する際の重要な注意点として、設備や点検口の有無が挙げられます。

まず、「設備」についてです。建売住宅では間取りなどの設計は大枠で決められており、壁紙をはじめとした内装はある程度、カスタマイズできる場合があります。

こだわりがない方だと、標準装備だけで足りると考えがちですが、標準装備の設備はトイレやお風呂、キッチンなどの最低限にとどまり、カーテンレールやテレビアンテナなど、生活に欠かせない設備が含まれていないケースがほとんどです。

したがって建売住宅を購入する際には、どこまで標準で設備が備わっているのか、必須のオプション工事は何か、確認しましょう

次に、床下や屋根裏に「点検口」があるか確認することが大切です。

点検口は水漏れやシロアリ被害、基礎のひび割れ、雨漏りなど、高額な修理が必要な問題があるかどうか事前に確認する際に必要です。
また、床下や屋根裏の劣化状態や断熱材、接合金物の取り付け状況を確認するうえでも点検口は欠かせません。

床下や屋根裏の点検は、住宅購入前のホームインスペクションでの必須項目です。したがって現在、多くの住宅会社は新築時に床下や屋根裏の点検口を設置しており、自社の建物の維持管理に取り組んでいます。

しかし、一部の悪質なケースでは、不具合を隠蔽するために点検口を塞いでしまうこともあるため、念のためにも点検口の有無を確認することが重要です。

点検口の有無はメンテナンスのしやすさだけでなく、フラット35申請時にも必要なため、注意深く検討しましょう。

住宅性能表示があるか確認する

家を確認するイメージ

住宅性能表示制度とは、一般の消費者にも理解しやすい形で住宅の性能を示す制度です。耐震性能や断熱性能などの等級が表示されるため、住宅選びに欠かせません。

住宅性能表示があると、住宅ローンの金利優遇や控除額の増加などのメリットが得られる場合があります。建売住宅を検討する際は、住宅性能表示の有無を確認し、どの分野の性能が優れているかを調べましょう

住宅性能表示は次の2種類あります。

設計住宅性能評価書:設計時の図面から評価結果をまとめた評価
建設住宅性能評価書:施工中・竣工時の現場検査と検査結果からまとめた評価

また、住宅性能評価書の中でも「構造の安定」に関して「耐震等級3」を取得していると地震保険が半額になります。ご検討中の建売住宅の耐震等級についても、ぜひご確認ください。

イシカワでは建売住宅の場合も、「耐震等級3」「断熱等性能等級5」の家づくりを標準とし、性能面でもお客様がメリットを感じていただける品質を提供しています。

販売価格の明細と諸費用を確認する

建売住宅を購入する際には、販売価格が妥当なのか確認するために住宅費用の明細と、販売価格以外に必要な諸費用についても確認しましょう。

建売住宅でかかる諸費用は、一般的に購入価格の約6~9%程度が目安です。物件によっては、水道負担金や外構費などが別途必要になることがあります。これらの諸費用の金額は物件ごとに異なるため、購入前に諸費用明細を取得し、必要な費用を詳細に把握することが大切です。

メンテナンス費用を確認する

建売住宅によっては、使用する建材や設備が低コストのため、寿命が短く通常よりも早くメンテナンスが必要になって維持費が高くつく場合もあります。
せっかく住宅購入費を安く抑えたのに、10年後に数百万円のメンテナンス費用が発生してしまっては大変です。

一般的に住宅は経年劣化や使用に伴って不具合が生じ、修繕・メンテナンスが必要になるものです。耐用年数やメンテナンス費用は、場所や素材によって異なります。

メンテナンス費用には、シロアリ対策や外壁、バルコニー防水、雨どい交換、屋根のふき替えなどが含まれます。またキッチンやお風呂、トイレなどの設備のメンテナンス費用も必要です。

住宅購入時には、購入後のメンテナンス費用についても確認し、住宅費用が安い場合も、長期的な視点で他の住宅と比較してトータルコストを確認することが大切です。

アフターサービスや保証内容を確認する

住宅を購入する場合は、アフターサービスや保証内容についても確認することが重要です。

基本的に、住宅瑕疵担保履行法に基づくアフターケアは、新築物件の構造躯体や屋根・外壁に対する10年間の保証を含みます。これは欠陥が発見された場合、売主が責任を負い、修理・補修することを意味します。

ただし、11年目以降にアフターケアを受けるには、ハウスメーカーの条件を満たす必要があります。条件には有償点検や修繕が含まれることがありますので、ご注意ください。

建売住宅は手ごろな価格で提供されることが多いため、アフターフォローについて不安を感じる人もいます。しかし、建売住宅だからといってアフターフォローが悪いとは限りません。

アフターフォローの質は、販売業者の姿勢や信頼性によって変わりますので、ご依頼先のハウスメーカーや工務店がどのようなサービスを提供しているか、確認しましょう。

イシカワでは、厳格な品質検査体制により、以下のような保証サービスを提供しています。

・第三者検査体制を導入
・構造・防水について最大60年保証
・10年の設備保証
・地盤20年保証
・白アリ最大30年保証

イシカワの保証とアフターサポートについてはこちら>

まとめ

住宅を紹介するイメージ

建売住宅はすでに建築が完了している分、内見から購入までのプロセスをスピーディーに進められる点が特徴的です。また、なるべく割安で家づくりをしたい方にもおすすめします。

一方で、土地や設計・仕様などあらかじめ決められているケースが多いため、お客様の希望やこだわりを反映した家づくりはほぼできません。個性やこだわりを重視する方は注文住宅も視野に入れて検討してみましょう。 

個性やこだわりを重視する方は注文住宅、なるべく割安で家づくりをしたい方は建売住宅がおすすめです
納得のいく家づくりを進めるためには、家づくりでかけられるお金やマイホームの優先事項をまずは洗い出しましょう。


イシカワは建売住宅と注文住宅、どちらにも対応できるハウスメーカーです。展示場にお越しいただければ、住宅プランナーがイメージにあった住宅の選び方をアドバイスいたします。年間1,000棟を新築するイシカワにぜひ、お任せください。

>イシカワの建売住宅はこちら

>イシカワの注文住宅はこちら

この記事の担当:
イシカワ家づくり編集部

断熱や耐震など、最新の家づくりに役立つ知識をお届けします。みなさまの家づくりの参考にぜひご覧ください。