家づくりの知識

2023.01.23

【エアコンつけっぱなし×高気密高断熱】実際の電気代や光熱費はいくら?

エアコンと女性

ここ数年、コロナ禍でおうち時間が増えたことでエアコンの稼働時間も増え、電気代に悩まれている方が多いようです。

節電のため、こまめにエアコンを消したり、我慢してつけないようにした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?


一方で、「高気密高断熱の住宅は、24時間エアコンをつけっぱなしで運転させた方が電気代が安くなる」と言われているのをご存知でしょうか。

たしかに、高気密高断熱の住宅のメリットは、「省エネ」と「快適な室温」です。とはいえ、24時間エアコンをつけっぱなしにするのは電気代が高くなりそうで心配になりますよね。

エアコンの「つけっぱなし運転」「こまめに消す運転」、どちらがいいのでしょうか。

結論から言うと、住宅の断熱性能や環境、使い方によって結果は変わってきます。

そこで今回は、実際の光熱費の事例をご紹介しながら「つけっぱなし運転」か「こまめに消す運転」どちらがいいのかを、ケースごとにご説明させていただきます。


24時間全館空調で、4LDK一戸建ての家のエアコンの電気代は?

まずは、実際にイシカワで建てた家で、24時間3台のエアコンを稼働させたときの光熱費をご紹介します。

ご協力いただいたのは寒冷地である新潟市のお客様のご自宅で、1年間の電気代を調査させていただきました。

■調査した家のデータ

延べ床面積:32.81坪
間取り:4LDK / 3階建て
家族構成:2人家族(40才代)
オール電化、エアコン3台を24時間連続運転

こちらの家の断熱性能は以下の通りです。

樹脂サッシ、Low-E複層ガラス
断熱等性能等級5 / ZEH基準

エアコンはリビングと寝室、2階のホールに設置されており、3台とも24時間「つけっぱなし運転」にしています。温度設定は、冬23度、夏25度です。



エアコン3台「つけっぱなし運転」の場合、使用電力と光熱費の月別データ

高気密高断熱の家のエアコンの光熱費一覧

※期間:2021年7月〜2022年6月に計測
※家の間取りや家族構成によって変動がございますので、参考としてご覧ください
より詳細な電気代の内訳はこちら>>


こちらのご家庭の場合、月平均の電気代は18,559円 / 月という結果になりました。
また、そのうちエアコン3台を稼働させた合計の電気代は、2,998円 / 月で、家全体の使用電力量の約16%がエアコンの消費電力という計算になります。


エアコンは「つけっぱなし運転」の方が安くなる?

エアコンのリモコン

それでは、「高気密高断熱の住宅は、24時間エアコンをつけっぱなしで運転させた方が電気代が安くなる」というのは本当でしょうか。

これについては最初にご説明した通り、住宅の断熱性能や環境、使い方によって結果が変わってきます


まず、エアコンで多くの電力が必要になる場面は2つあります。

・エアコンが起動する時
・エアコンの設定温度と室温に差がある時

このエアコンの特性に対し、住宅の断熱性能や環境などの条件の組み合わせによって、結果が変わってくるのです。

ここからは、つけっぱなしの方が安い場合とそうではない場合についてご説明いたします。


「つけっぱなし運転」の方が安い場合

パナソニック株式会社で真夏に行われた実証実験によると、

外気温が35℃以上の“猛暑日”のような場合は、室温が上昇しやすいため、「つけっぱなし」運転がお得
引用元:「コロナ禍の光熱費変動に関する実態調査」概要(パナソニック調べ)

ということがわかりました。

室温と外気温の差が大きい時は、断熱性の高い住宅の場合「つけっぱなし運転」の方がお得になるということでした。


「こまめに消す運転」の方が安い場合

同じくパナソニック株式会社で真夏に行われた実証実験によると

(外気温が)30℃程度までであれば、室内温度がそこまで上がらないため「こまめに消す」運転の方が電気代の節約につながる
引用元:「コロナ禍の光熱費変動に関する実態調査」概要(パナソニック調べ)

ということです。

エアコン稼働の方法の違いによる電気代の差異

画像出典:「コロナ禍の光熱費変動に関する実態調査」概要(パナソニック調べ)

※パナソニック調べ。室内温度26℃、冷房温度設定26℃でのシミュレーション結果
※シミュレーション結果は断熱性の高い住宅を想定。
※実際の電気代は、住宅の断熱性能やエアコンの設置環境等の使用条件によって異なります。

こちらのグラフでもわかるように、外気温が30度以下になると、「こまめに消す運転」の方が安くなっていることが分かります。

つまり、室温と外気温の差が小さい時は、断熱性の高い住宅の場合「こまめに消す運転」の方がお得になるようです。

ただし、「高気密高断熱の住宅は、24時間エアコンをつけっぱなしで運転させた方が電気代が安くなる」と言われるように、高気密高断熱の住宅は、従来の住宅に比べてエアコンをつけっぱなしにしてもそれほど大きな電力を消費しません。

短時間の外出で、気温差でどちらがお得になるのかわからない場合は、エアコンを「つけっぱなし運転」する方が無難かもしれません。

目安として、ZEH基準以上の高気密高断熱住宅は、12時間以上外出する場合はエアコンを消すことをおすすめしています。


まとめ

エアコンと高気密高断熱の家

今回の結果から、家で過ごす時間が長い方の場合は、エアコンを「つけっぱなし運転」にする方がお得であることがわかりました。

高気密高断熱の家であれば、「つけっぱなし運転」にしても、通常の家よりは消費電力が少ないのが特徴です。

家中が24時間快適な温度で過ごせることは、何よりのメリットではないでしょうか。

家にいる時間が多い方や、ペットを飼われているご家庭の場合、高気密高断熱の24時間全館空調の家をご検討されてみてはいかがでしょうか?

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この記事の担当:
イシカワ家づくり編集部

断熱や耐震など、最新の家づくりに役立つ知識をお届けします。みなさまの家づくりの参考にぜひご覧ください。