全館空調は普通のエアコンより高い?電気代を実例でご紹介!
2023.04.30
家づくりの知識
2023.01.13
物価やエネルギーの値上げのニュースが続いていますが、日々の生活費で気になるのは光熱費ではないでしょうか。
これから家づくりをする人にとって、完成するマイホームの住み心地はもちろんですが、光熱費などのランニングコストも重要なポイントです。
せっかく建てた夢のマイホーム、住んでみたらびっくりするくらい電気代が高かった!なんてことは避けたいですよね。
今回は、ぜひ家を建てるとき検討していただきたい「光熱費削減のポイント」をご紹介いたします。
この記事の目次
最近よく耳にするようになった、住宅の「高気密」「高断熱」というフレーズ。
住宅の気密性能と断熱性能が高ければ高いほど、光熱費を抑えることができます。
どちらも「熱を逃がさない」ための性能なので、少ないエネルギーで冷暖房が効くようになるからです。
じつはこの2つ、どちらかが欠けてしまうと大幅な光熱費削減にはならないので要注意です。
どちらか一方が不十分だった場合は、以下のようになります。
断熱性だけ高めた場合…建物が熱を逃さない素材を使っていても、気密性能が低いと、家の隙間から熱が外に逃げてしまう
気密性だけ高めた場合…気密性が高く、建物から空気が逃げないけれど、断熱性能が低いと、壁や窓の素材から外の気温による影響を受けてしまう
高気密高断熱の設計にすることで、外気の影響も受けず、家の中の熱が外に逃げないため、効率的に冷暖房の効果を高められます。
断熱性能とは、簡潔に言えば、外気の暑さや冷気などの温度を遮断する能力を指します。
これらの基準は、主に「UA値」「Q値」などで表される方法が一般的です。
UA値とは、外皮平均熱貫流率を指し、家全体の外皮1㎡あたり、どの位の熱が逃げるかを示したもので、数値が低ければ低いほど優れています。
Q値とは、熱損失係数を表し、家からどれだけ熱が逃げにくいかを示したものです。UA値と同様、数値が低ければ低いほど断熱性能に優れていると言えます。
これらの数値を低くするためには、断熱材を内側と外側に張り巡らせる方法が一般的です。
使用される断熱材については、断熱等級によっても異なるため、断熱等級についても知っておきましょう。
上記では等級1~7までありますが、2025年4月以降は、すべての新築住宅に等級4以上が義務付けられています。
イシカワでは、等級5のZEH水準を標準性能としています。
つぎに、等級5以上の断熱材の仕様を見てみましょう。
等級が高くなればなるほど、断熱材が厚くなり、断熱性能を高めます。
新築住宅を建てる際には、これらの素材についても確認しておくと良いでしょう。
先述したように、断熱材で熱を逃さないようにしても、気密性能が低いと、隙間から空気と一緒に熱が逃げてしまいます。
「断熱性能も気密性能も、熱を逃がさないという部分で同じなのではないか?」と思う人もいるかもしれませんが、例えるのであれば発泡スチロールが断熱材、その隙間を塞ぐのが気密性です。
気密性を高めると、光熱費の削減の他、以下のメリットがあります。
・結露やカビ防止
・湿気が溜まりにくい
・花粉や黄砂などの侵入を防ぐ
気密性能については、C値といった数値で表され、C値が小さければ小さいほど高気密です。
省エネ法では、C値の基準値は示されていませんが、0.7以下が良いとされています。
0.5以下であれば、かなり優秀な気密性能住宅と言えるでしょう。
C値は「気密測定」という検査で測れるので、設計の際には気密測定を行っておくと良いです。
イシカワでは、建てたすべての家で気密測定を行い、きちんと気密性能が保たれているか確認しています。
工務店やハウスメーカーによっては気密測定を行っていない場合もあるので、事前に確認するようにしてください。
夏場…窓から侵入する熱の割合は全体の70%
冬場…窓から熱が逃げていく割合は全体の40%
上記のように、窓からの影響が大きいため、断熱性の高い窓サッシを選ぶことをおすすめします。
断熱性の高い窓サッシについては、「オール樹脂サッシ」や「Low-Eガラス」などが良いでしょう。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
その他に、アルミサッシなどもあるので、断熱性を高めるために窓サッシも慎重に選びましょう。
イシカワでは、オール樹脂サッシとLow-Eガラスが標準性能となっています。
光熱費を削減するには、冷暖房を効率的にする仕組みも考えておきましょう。
夏場の暑さで冷房の設定温度を低くしたり、冬場の寒さでエアコンやストーブを同時に使ったりすれば、当然光熱費はかさみます。
冷暖房を効率的に使用できる仕組みになっていれば、最小限のエネルギーで部屋の温度を保てるので、光熱費を抑えられるでしょう。
ポイントとしては、以下の3つがあります。
・熱交換換気システムを取り入れる
・エアコンが効きやすい間取りを設計
・パッシブデザイン
具体的にどのようにすればいいのかを解説していきます。
断熱性を高める上で注意しておきたいポイントが「換気」です。
日本では、高気密高断熱住宅に24時間換気システムの設置が義務づけられています。
換気を適切に行わないと、シックハウス症候群になる恐れがあるためです。
この換気については、以下の3種類があります。
第1種換気…給気と換気を換気扇で強制的に行う
第2種換気…給気を換気扇で行い、屋内の空気は自然に外に排出
第3種換気…屋内の空気を換気扇で強制的に排出
上記のように換気扇を使って換気を行いますが、これらの換気方法では、室温が変化してしまうというデメリットがあります。
どれだけ冷暖房で室温を調整しても、換気によって室内の空気が外に送り出されてしまうと、室温が安定しません。
そこで、このデメリットをカバーするために開発されたのが、熱交換換気システムです。
熱交換換気システムは、室内の空気を外に排出するときに、給気する空気に熱を移します。
システムによって異なりますが、一般的には熱損失率は1割程度です。
また、温度差がなくなることで、結露やカビ・ダニの発生も防げます。
導入コストは高くなってしまいますが、光熱費の削減にもつながるため、長期的に見れば決して損ではありません。
イシカワでは、全熱交換型24時間換気システムを標準採用しています。
部屋に冷暖房を取り付ける際には、部屋の広さや数から、エアコンをいくつも取り付けてしまうケースもあるでしょう。
しかし、間取りや取り付け位置を上手に考えれば、エアコンを複数台取り付ける必要はありません。
そもそも、エアコンの取り付けには、機種ごとに設置条件が定められています。
基本的な室内機の設置条件は、以下のとおりです。
・火災報知器から1.5m以上離す
・天井との距離が50mm以上開いている
・周辺の壁との距離が50mm以上開いている
・床から2.4m以内の高さ
・エアコン専用コンセントの近く
室外機においても、以下の設置条件があります。
・周辺に障害物がなく、背面や左右に一定の距離を開ける
・水平に設置できる安定した場所
・直射日光が当たらず、風通しが良い
さらに、エアコンと室外機をつなげなければいけないため、いずれかではなく、セットで間取りを考えなければいけません。
これらの条件を理解しておかなければ、効果的な位置にエアコンを設置できないので、事前に考えておきましょう。
では、実際にどのような間取りであればエアコンが効きやすいかというと、窓から部屋に向けて広々しているような間取りです。先にご説明したように、外の空気の熱は主に窓から伝わるため、大きな窓の近くに取り付けられるようにすると良いでしょう。また、部屋全体にエアコンの風が行き渡るようにすることも重要です。
イシカワでは、全館冷暖房空調システムを推奨しています。
全館冷暖房空調システムは、家全体の空気を循環させて各室の温湿度を均一にするシステムです。
空気が巡回するので、エアコン1台でも、十分快適な温度を実現できます。
部屋による温度差がないので、身体への負担が少なく、ヒートショック対策としてもおすすめです。
イシカワの極・空気の家について>
冷暖房を効率的にする方法として、パッシブデザインも検討してみましょう。
パッシブデザインとは、自然エネルギーを最大限に活用するための建築設計です。
エアコンの力だけではなく、自然の力を取り入れることで、結果的にエアコンを効率的に使用できます。
具体的なパッシブデザインの考え方は、以下のとおりです。
・屋根の庇(ひさし)で太陽熱をさえぎり、夏の室温を下げる
・窓の位置やシーリングファンの位置を調整して、風の通り道を作る
・シーリングファンによって冷たい空気と暖かい空気をかきまぜる
・日差しを取り入れて、照明をつけなくても十分な明るさにする
・窓の位置や大きさを調整して、太陽光エネルギーを取り込む
上記の他にも、可動式ルーバーで日射の調整を行う方法など、パッシブデザインの方法はいくつもあります。
自然エネルギーを最大限活用する方法ですので、エアコンの他、照明器具などの電気代も抑えられます。ぜひ住宅設計の際に検討してみてください。
光熱費を抑えるためには、省エネ設備を導入することもおすすめです。省エネ設備を導入すれば、光熱費を大幅に抑えられます。
ただし、設備によっては、設計時から考えておかなければいけません。
わかりやすい例では「オール電化」や「HEMS」などです。小さいもので言えば、照明をLED電球に対応できるようにしておくのも、光熱費削減になります。
以下で、それぞれの特徴やメリットについて解説するので、ぜひ住宅設計時の参考にしてください。
・電気代とガス代が一本化できるため、基本使用料が抑えられる
・お湯が安く使える
・ガスのように室内の空気を汚さない
・火を使わないため安全
・自家発電の電力が使用できる
・災害時の復旧が早い場合がある
・CO2削減に協力できる
お湯については、エコキュートを使用すれば、お湯をつくるための光熱費を安くすることができます。
エコキュートは、通常の電気代よりも安く使える深夜電力が利用できるので、大幅に光熱費を抑えられます。
また、給湯した際の熱を床暖房に利用することもできます。
イシカワではオール電化を標準仕様にしています。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略称で、家庭内で消費するエネルギーを、見える化するシステムです。
HEMSは、電力消費量を時間単位で記録できるため、節電対策として注目されています。
日本では、「2030年までにHEMSを全世帯に普及させる」という目標を明確にしました。
これは、国家戦略室の「グリーン政策大綱」に、以下のように記載されています。
世界最高水準の省エネのさらなる深化
民生部門(住宅、ビル)
(中略)
◆主な施策毎の目標
・2020年までに全ての新築住宅・建築物について、段階的に省エネ基準への適合を義務化
・2020年までにネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)を標準的な新築住宅とする。
・2030年までにHEMSを全世帯へ普及させる。
・家庭用燃料電池について、2016年に自立化。2020年時点で140万台、2030年までに530万台を導入。
引用元:グリーン政策大綱 p23|内閣府
政府がHEMSを推進する理由としては、大きく2つあります。
・温室効果ガスの排出量削減のため
・発電設備の安定運用と低コスト化のため
ただし、HEMSを設置すれば、自動的に電気代が安くなるわけではありません。
HEMSで行えるのは、あくまで電気使用量の確認です。
しかし、従来では、自宅で実際にどれだけの電力が使用されているのか、細かく把握することはできませんでした。
HEMSは、電力使用量を詳細に見える化してくれるので、一人ひとりの節電対策の意識が高まるでしょう。
その他、HEMSの設置には、以下のメリットがあります。
・電化製品や電子機器の自動制御が可能(プランによる)
・外出先から家の機器を操作可能(スマートフォンなどとの連動が必要)
上手にHEMSを使えば、大幅に電気料金を抑えられます。
イシカワでは、対応商品の場合、HEMS設置を標準仕様にしています。
照明をLED電球にすれば、年間で大幅な電気代を節約できます。
LED電球と白熱電球では、LED電球の方が、年間で4,000円ほど安くなると言われているのです。
ただし、LED電球は、どの住宅、どの部分にも取り付けられるわけではありません。
住宅によっては、LED電球が取り付けられない場合もあるので、設計時から考えておく必要があります。
もし、白熱球専用のソケットにLED電球を差し込んで使用してしまった場合、トラブルになる可能性があるので、必ずLED電球を使用できる設計にしておきましょう。
また、断熱材施工器具のマークも確認しておいてください。
断熱材施工器具とは、器具の周りに断熱材が施工されているものです。
この断熱材施工器具に「SB」「SG」「SGI」のマークがついている場合、LED電球は使用できません。
その他、密閉型器具や調光機能のついた電球器具ではLED電球が使用できないので、そのあたりも理解した上で、設計を進めていきましょう。
住宅の光熱費を削減する方法は様々ですが、これから住宅を建てるのであれば、高気密高断熱の住宅設計をおすすめします。
断熱性能については、2025年4月以降、すべての新築住宅に等級4以上が義務付けられているため、等級3以下になる可能性はありません。
ただし、等級4はあくまで最低基準です。
光熱費の削減や、より快適な住宅を考えるのであれば、等級5以上の高断熱を目指しましょう。
加えて、C値が0.7以下になる高気密住宅も検討してみてください。
ぜひ、これから住宅を建てる人は、長くお得に暮らすために、設計から考えていきましょう。
イシカワでは
・断熱等級5、オール樹脂サッシとLow-Eガラス、全熱交換型24時間換気システムが標準仕様
・すべての住宅で気密測定を実施
・オール電化
・LED照明の採用
など、光熱費が削減できる家づくりを標準で行っています。
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