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家のどこで過ごしても、年中快適な温度を保つことができる「全館空調」。新築や建て替え時などのタイミングに合わせて、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
一口に全館空調と言っても、ダクト式やエアコン式、床下冷暖房方式など実にさまざまな種類があります。
それぞれに特徴があり、間取りや家族構成などの条件によって取り付けるメリット・デメリットは異なります。もちろん、費用感も気になるところですよね。
この記事では、全館空調の仕組みや種類、設置する家の向き不向きに加えて、導入費用やランニングコスト、メンテナンス費用まで、詳しく解説していきます。
導入をご検討されている方は、ぜひ参考にして、ご自宅にぴったりの全館空調を見つけてくださいね。
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▼この記事でわかる内容
・全館空調とは
・全館空調の種類
・全館空調はどのような方に向いているのか
・全館空調の導入にかかる費用
この記事の目次
全館空調とは、家全体を一つの空調システムで管理する仕組みのことです。昨今は季節ごとの気温差も大きく、子どもや高齢者など自らの体温調節が難しい方や、ペットを飼っているご家庭からも注目を集めています。
いつでも温度を均一に保つことができるため、部屋間の温度差によるストレスを感じにくいことや、各部屋にエアコンを設置する必要がなく、空間を広く使うことができる点が特徴です。また、室内で一定の温度になるよう空気を循環させているため、換気もになっており、全館空調に空気清浄機能を組み合わせることもできます。
ただ、機器設置のための専用スペースを作る場合、間取りとの調整が必要になります。そのほか、暑がり、寒がりの家族がいる場合に好みの温度が変わってくることを懸念されている方もいます。
一般的には、家全体の制御を想定した全館空調専用の機器を活用することが多いですが、市販の壁掛けエアコンとダクトやファンとの組み合わせで全館に温風、冷風を送るやり方もあります。
それぞれの違いを見ていきましょう。
全館空調と一口に言っても、実は様々な種類があります。ここでは、代表的な3つの全館空調システムを紹介していきます。
ダクト式の全館空調は、1台のエアコンで家全体を空調するシステムです。空調機と各部屋をダクトで繋ぎ、空調された空気を各部屋に送ることが可能です。
ダクト式のメリットは、部屋をまたいでも温度ムラが少なく、どこでも快適に過ごせることです。一方で、部屋ごとに温度設定ができる機種もあり、換気システムと連携して設定をしやすいことがポイントです。
デメリットには、専用のダクトスペースが必要になってしまうため、天井高が低くなる場合があることや、初期費用が高額になる傾向があること、定期的なダクトのメンテナンスが必要、などがあります。
エアコン方式の全館空調は、複数のエアコンを連携させて家全体を空調するシステムです。各部屋に設置されたエアコンを、専用の機器やアプリで一括制御します。市販のエアコンで可能なためお手軽ですが、工務店やメーカーなどとダクトやファンとの組み合わせ方法について相談し、緻密に設計する必要があります。
エアコン方式のメリットは、ダクトスペースが不要なこと、初期費用が比較的安価で、市販エアコン自体の故障などに対応しやすいことがあります。また、部屋ごとの温度設定もしやすいことがポイントです。
デメリットを見てみると、間取りや日当たりなどによって部屋間の温度ムラが生じやすいことがあります。エアコン自体の室外機を取り付ける必要があり、外観の見栄えに影響してくることが懸念されます。また各部屋にエアコンを設置する必要がある場合もあり、空間づくりをする上でもある程度の制約があります。
床下冷暖房方式は、床下に設置した空調機で家全体を空調するシステムです。床下から冷気や暖気を送り出し、家全体を均一な温度に保つことができます。
メリットは、部屋を移動しても温度ムラが少なく、ストレスがかからずに済むことです。足元から暖まるため、体感温度が高い上、エアコンの風が苦手な人にもおすすめです。
一方でデメリットは、床下にスペースが必要であること、床材によっては、床暖房の効果が得られにくい場合や、結露が出てしまうケースもあり、注意が必要です。また、初期費用も比較的高額になる傾向があります。
昨今は季節による気温差が激しくなっています。真夏の場合、外の高気温に対して冷房が強いオフィス内などの気温差で体に負担がかかり、疲れを感じている方も多いのではないでしょうか。屋内外に限らず発生する熱中症や、ヒートショック現象も心配です。
全館空調システムは、ご自身で体温調節が難しい高齢者やお子さん、ペットを飼っている世帯や、室内干しをしたい方、室内を開放感のある空間にしたい場合などにぴったりです。
▼全館空調システムはどのような家庭に向いているのか
・高齢者がいる世帯
・お子さんがいる世帯
・室内干しにも対応したい方
・室内を開放感のある空間にしたい方
全館空調により家全体の温度を一定に保つと、気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こるヒートショック現象のリスクを軽減できます。どの部屋や空間へ移動しても温度差がないため、身体への負担を減らし、穏やかに暮らすことができます。
また、空気の循環と換気機能により、清潔な空気環境を保ちます。
プラスして空気清浄機機能までつけることで、持病などがあっても衛生的に過ごすことができます。
冷暖房はスイッチのオン・オフ時に電気代がかさんでしまうことから、うっかり消し忘れてしまうこともありませんね。
体温調節が難しいお子さんの健康面のために、導入される方も多くいます。
大人と子どもの体感温度が違うことに気が付かず、室内熱中症になってしまう危険性を防ぐことができ、逆にお風呂上がりのドタバタで湯冷めを心配せずに済むこともうれしいですね。
床下冷暖房方式では足元から暖まるため、床に寝そべっても大丈夫。小さなお子様も安心して遊ばせることができます。
また、窓を頻繁に開けられない立地だったとしても、窓を開ける必要がありません。空気清浄機能付きのシステムを導入することで、アレルギー対策にもなります。ペットを飼っていたり、大切な室内植物を育てているご家庭にも最適です。
防犯対策や排気ガス、プライバシー確保のため、洗濯物を室内で乾かしたいという方も多くいるのではないでしょうか。
全館空調では、空調と連動した除湿機能によって湿度が高くなりすぎることもなく、室内でも洗濯物が乾きやすくなります。
また家全体の湿度を適切に保つことができるため、梅雨の時期でもカビの発生を抑えられ、家のメンテナンスが少なくて済む、除湿機の導入が不要、といった利点もあります。
せっかく家を建てるのであれば、デザインにもこだわりたい、という方にもメリットがあります。
ダクト式や床下冷暖房方式を採用すれば、各部屋にエアコンを設置する必要がないため、吹き抜けなど自由な間取りにすることができます。電化製品を見せることなく、すっきりした印象をつくることができるのも魅力的です。
天井が高いお家ならではのお悩みでもある、温風を足元に、冷風を上部に届けることの困難さも解消できます。
開放感ある吹き抜けでも効率的に空調できることで間取りのバリエーションが増え、こだわり抜いたお家づくりが実現可能です。
全館空調システムの導入コストは、一般的に100〜300万円が相場です。
・新築もしくはリフォームなのか
・家の広さや構造
・選ぶシステムの種類
・メーカー
などによっても大きく異なるため、慎重に検討する必要があります。
各メーカーによって、130万以下〜300万程度の設備がありますが、工務店やハウスメーカーでは設置費用を含めて提示されるため、提示額に「高い」と感じる方が多いのも現状です。
費用を抑えたい場合は、ご自身の条件に合う極力シンプルな施工が可能な会社を探すことが大切です。
一般的には、全国展開のハウスメーカーよりも、地元密着型の工務店で全館空調を導入するほうがコストを抑えることができるため、小規模住宅では100〜130万円規模と言われています。
一方、安定した品質と明確な価格提示、保証サービスに重きを置かれる方は、ハウスメーカーでの導入を検討してみることが望ましいでしょう。ハウスメーカーでは、150〜300万円規模となります。
ただ、いずれも条件や立地などによって価格が異なるため、まずは見積もりを出してもらいながら、予算に見合った検討を進めましょう。
全館空調システムの電気代は、家の断熱性能や気密性、家族構成、生活スタイル、地域などによって異なります。
一般的には、月額5,000円〜15,000円程度が目安と言われ、平均すると約8,000円のご家庭が多いようです。
省エネ性能の高い住宅ですと月30%ほどカットできることもありますし、一般的な住宅では月額約8,000〜1万円程度、寒冷地や古い住宅では、月3万円程度までかさむこともあります。
通常の家の場合はエアコンのスイッチを入れたり消したりするため、結果的に年間の電気料金が高くなってしまいますが、全館空調には自動調整や予約機能も導入されているため、電源をオフにする必要がなく省エネです。
エアコンの場合は、春・秋季など冷暖房をつける必要がないときもあると思いますが、全館空調の場合はこまめな電源のオン・オフや、空間を急速に温めたり冷ましたりする必要がないことを考えると、結果年間約2〜3万円の削減になるケースもあります。
全館空調システムのメンテナンスコストは、システムの種類やメーカーによって違います。一般的には、年1回の定期点検(1〜2万円)とフィルター交換(2,000〜5,000円程度)が必要です。
また、ダクト式のなど特殊なシステムの修理費は30〜50万円程度かかることが懸念されます。
その分エアコン方式の全館空調であれば、市販製品で取り替えや部品交換もしやすいことで、結果的なランニングコストも抑えることができます。最初から、保証がしっかりしているメーカーなどを選ぶ方法もあります。
ここまで、全館空調の特徴や費用面の全体像を見てきました。
利点も多い全館空調ですが、家の築年数が経っていたり、気密性や断熱性が低かったりする場合、全館空調で調節した空気を少しずつ外に逃してしまい、継続的に温度を調節する必要があります。
このように余計なエネルギーを要してしまうことや、結露やカビの発生により、電気代や導入費に加えて家のメンテナンス費など、総コストが嵩んでしまうことが想定されます。
そのため、導入される場合は、その家が「高気密・高断熱であることが絶対条件」とも言えるでしょう。
全館空調の導入には、建築計画時に建物の性能や間取り、用途やメリット・デメリットを合わせて一緒に考えていくことをおすすめします。
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ハウスメーカーの高気密・高断熱を比較する方法は?メリット・デメリットを解説!
家の中が常に一定で、安心して過ごせる魅力の大きい全館空調ですが、すべての住宅やご家族に最適なわけではありません。
家の間取りや価格など、大切にしたいポイントはそれぞれですので、まずは家の状態や費用面などを挙げるチェックリストをつくり、その中から優先順位をつけて検討されてみてはいかがでしょうか。
ハウスメーカーや工務店などにもご相談の上、より良い快適なお家づくりの参考にしてみてください。
イシカワでは、標準仕様で温度・湿度が均一で空気を浄化する全館空調システム「ブローボックス」を導入できます。ブローボックスには以下のようなメリットもあるため、おすすめです。
・24時間を通して快適な温熱環境を実現できる
・交通事故よりも多い死因である「ヒートショック」を抑制できる
また、太陽光発電搭載と昼間電力無料システム採用なら冷暖房費は実質無料になります。
全館空調の導入をご検討の方は、ぜひイシカワのブローボックスの家をご検討ください。
全館空調システムの導入や、高気密高断熱の家づくりをご検討の場合は、イシカワの展示場(モデルハウス)でも無料でご体感いただけますので、ぜひこの機会にご来場ください。
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